めぐりめぐって、今ここにいる
いま、僕の心と身体、そして環境が、
ゆっくりと、整いの流れに乗ってきているのを感じます。
呼吸が深まり、日々に張りとゆとりが生まれ、
関わる人たちとのあいだにも、自然に信頼や温かさが芽吹いていく。
収入や時間、健康、人間関係。
仕事と遊びのリズムも、自分らしいペースでめぐりはじめ、
全体がひとつの「良い循環」に抱かれているようです。
会社員の仕事を全力でこなしながら、自分の会社も営み、
人の十倍くらい遊ぶ。
そんな暮らしだからか、よく尋ねられます。
「いつ寝てるの?」と、「いつ働いているの?」と。
気がつけば、頼られることも、誘われることも増え、
地方や社会に向けた活動も、静かに形になっていました。
人生の時間は、限られている。
やりようによっては、いくらあっても足りない。
だからこそ、仕事のなかに遊びを見つけ、
遊びを仕事に活かす。
重ね合わせ、響きあう感覚を大切にすること。
それが、僕の一石十鳥の秘密です。
一石十鳥の動きを意識しているからこそ、
いまの循環に乗り、正のスパイラルを描けているのでしょう。
一石二鳥どころか、十鳥くらいの豊かさを、
面白がりながら味わっています。
けれど、いつもそうだったわけではありません。
ここに来るまで、何度も迷い、苦しみ、
何度も落ち込みました。
だからこそ、いまこの状態に、静かに感謝しています。
そして、この循環を、誰かと分かち合いたいと願うようになったことが、
僕にとっての、小さな奇跡です。
北のまちで芽吹いた感覚と知性
広い空、凍った湖、森のにおい。
そんな自然に囲まれた暮らしの中で、感性や情緒のようなものが、静かに育まれていたように思います。
祖父や父の影響で、ものづくりも幼いころから身近にありました。
苫小牧高専では情報系を学び、専攻科を経て学士(工学)を取得。
論理回路やプログラムなど、「0と1」の世界に触れたことで、複雑なものにもシンプルな構造や本質があることを体感しました。
これは、後の自分の思考や感性に、大きな影響を与えています。
「I型 → π型 → ムカデ型技術者」という進化のイメージにも出会いました。
専門性を深く掘り(I型)、隣接領域も広げ(π型)、やがて複数の足で柔軟に動ける存在(ムカデ型)へ。
この考えに触れたとき、
「ただの専門家やジェネラリストではなく、自分なりの“ヴァーサタイリスト”でいたい」
と思ったのを覚えています。
また、医療現場と連携した開発に取り組む中で、地域の人々のあたたかさや、目の前の誰かのために動く姿に心を動かされました。
そんな日々の一方で、「もっと広い世界に触れてみたい」という思いも、静かにふくらんでいきました。
自然の中で育まれた感性を持ったまま、都市の熱量や最先端の現場に飛び込んだら、何が見えるのか。
その問いが、東京への道へと僕を導いていったのです。
世界が開き、つながりが芽生える
最先端の研究に触れ、人も情報もエネルギーも、加速度的に動く都市の中で、
自分の内と外が一気にひらかれていくような感覚がありました。
とくに、医療福祉機械の研究を通じて、
人の身体と情報、機械や電気の仕組みを、統合的に捉える視点を得たことは、
のちの感性や活動にも深く影響を与えています。
人と機械、都市と自然、テクノロジーと身体――
相反するようでいて、本来はつながっている世界のあり方に、強く惹かれていきました。
また、自転車で感じた身体感覚の拡張や、
触れずに相手を動かす合気道の身体知、
あくびがうつるような無意識下でのつながりなど、
「身体を通じた関係性」への感度も高まっていきました。
数学の圏論で学んだ、ノードとエッジの関係にも似て、
人と人、人と道具、人と場の“つながり方”を、実感しはじめた時期でもあります。
この視点は、のちに僕が多くの場で価値を見出す根っこになっていきます。
当時流行していたSNS「GREE」で出会った“6次の隔たり”の概念や、
スモールワールド・ネットワークの考え方も、
都市の偶然的な出会いを肯定する視点を与えてくれました。
一方、「Mixi」では音楽レストランに関わる友人たちとの縁から、
経営者やアーティスト、役者の輪へとつながっていく経験もありました。
そうした日々は、僕の中の「つながり」の定義を大きく変えてくれました。
大学院時代に初めて訪れた海外、MITでの研究発表と交流も、大きな転機でした。
さらにニューヨークでは、美術館や舞台芸術、街のリズムに触れることで、
文化や人々の“空気感”の違いに心が震えました。
都市によって、マクドナルドの雰囲気すらまったく違う――
そんな小さな体験さえも、世界の多様性を感じるきっかけとなったのです。
飛び込み、揺れながら前に進む
その後、技術営業として働き始め、全国各地を飛び回る日々が始まりました。
金沢の寿司や、神戸の鉄板焼。
日常ではなかなか行けない場所にも、
自分なりの「投資と回収」のマインドで飛び込んでいきました。
新人でお金のなかった頃だからこそ、
得られる情報や気づき、感動がひとつひとつ濃く、
その一歩一歩が、自分を大きく育ててくれました。
営業として、日本で交渉術のSNS(Situational Negotiation Skill)トレーニングも受けました。
一見、相反する立場にある人同士が、創造的に折り合いをつけていく、Win-Winの構築。
それは単なる営業テクニックではなく、
人間関係の在り方や、共創の可能性を学ぶ大きなきっかけとなりました。
(※SNSについては別記事で詳しく紹介予定です)
同時に、Webビジネスやマーケティングにも興味を持ち始めました。
「良いものをつくるだけでは足りない。どう届けるかが重要だ」
そう気づくようになったのです。
SNSやアルゴリズムの仕組みで、広く届くものもあれば、
静かに、丁寧に、ひとりに届けられるべき価値もある。
バズること自体が悪いわけではない。
でも、仕組みと本質のバランスをどう取るかが、いつも問われている。
職人の手仕事や、個人店の営みのように、
心ある価値が埋もれてしまうこともある今、
「数量や効率」だけでは測れないものを、どう育て、どう繋いでいくか――。
それは、僕自身の問いとして、いまも深く根底に息づいています。
問い直し、再起し、本質へ向かう
リーマンショックの荒波の中、同期や先輩が次々と職を失い、
自分の力の小ささを痛感する出来事が続きました。
どれだけ良い教育を受けてきても、
社会の大きなうねりの前では無力なのではないか——
そんな思いに、深く揺さぶられる時期でした。
そんな中、自分の人生を切り拓く力を身につけたいと願い、
短いあいだではありますが、ネットワークビジネスにも関わりました。
製品に込められた思想や、仲間との一体感に惹かれ、
熱量のある実践を通して、たくさんのことを学びました。
一方で、経済的な持続の難しさや、自分の価値観との違いも感じ、
次第に距離を置くようになりました。
やはり、自分自身の背景や想いに根ざしたものを、
世の中に届けたい——
そんな思いが、少しずつ輪郭を帯びていったのです。
その頃、ふらりと入った八王子のバーボン居酒屋で、
ひとりの人物と出会いました。
通ううちに、彼が高専出身で、ものづくりに情熱を注いできた人だと知ります。
年齢は二回りほど上で、父母世代に近い方でしたが、
不思議と馬が合い、深いご縁となっていきました。
この出会いをきっかけに、
「山竹ジェネレーターズ」というプロジェクトを共に立ち上げ、
発電機やエネルギー関連の開発に、本格的に取り組むようになりました。
僕自身は、会社員としてフルタイムで働く傍らではありますが、
空いている時間を最大限に活かし、本気で取り組んでいます。
会長となった彼とともに、
「このテーマはきっと、世界を変える力を持っている」
そう信じながら、地道に試作や対話を重ねています。
また同じ頃、あるシンポジウムで、リン・ツイスト氏の講演に触れました。
「お金とは何か」
「精神性と物質性の統合」
「北と南の融合」
そんなテーマのひとつひとつに、胸を打たれました。
氏の著書『ソウル・オブ・マネー』を読み進める中で、
「お金をどう集め、どう使うか」という本質と向き合うようになり、
それが、いまの僕の活動にも、確かな指針を与えてくれています。
世界にホームを見つける旅へ
会社員としての本業に加え、
山竹ジェネレーターズの活動や、狼犬の世話。
いくつもの役割を抱える中で、コロナ禍を境に、体調を大きく崩した時期がありました。
健康診断ではE判定。気力も体力も、一気に落ち込み、
「このままでは本当に危ない」と、強く感じるように。
そこから、ジム通いや食生活の見直し、スマートホーム化、ライフハックの実践など、
心身を整える取り組みを、本格的に始めました。
同じ頃、自分の経験や視点を活かして、何かできないかという思いも芽生え、
Webやビジネス構築について学び始めました。
信頼できる専門家のもとで、本質的な情報発信や価値提供の方法を学び、
少しずつ個人での発信やコンサルティングにも取り組むように。
2023年頃からは、事業のサポートを通じて感謝される機会も増え、
「自分が動くことで、誰かの役に立てる」という手応えを感じるようになっていきました。
そんな個人の取り組みとは別に、
以前から全国各地に出かけ、知らない場所や人との出会いを楽しむようにしていました。
予約なしで飲食店を訪ね、閉まっていても、
「偶然の余白」にこそ意味がある、と受け取る。
そんな小さな飛び込みや、偶然の出会いを重ねるうちに、
「ここも、自分の居場所かもしれない」
そう感じられる場所が、少しずつ増えていったのです。
今では、いくつもの「ホーム」と呼べる場所や人が、全国各地に点在しています。
オンライン・オフラインを問わず、安心して心を開ける場所や、
困ったときに頼れる人がいることは、
人生に深い豊かさをもたらしてくれます。
それは、単なる居場所ではなく、
感動や気づきを分かち合い、良いものを循環させていける、小さな拠点でもあります。
時代や環境が不確実に揺れるいまだからこそ、
自分にとっての「ホーム」を増やしていくことは、
生存戦略のようであり、より良い世界を育むための大切な土壌だと感じています。
静かに、でも確かに、
自分の世界が広がってきている実感があります。
感謝を起点に、価値がめぐる未来へ
こうして振り返ってみると、
僕の人生はいつも、感謝とつながりをきっかけに、新しい一歩を踏み出してきたように思います。
そして、その一歩一歩が、いまの自分をかたちづくり、
少しずつ世界を広げてくれました。
現在、僕が運営しているプロジェクト「APLF(Appreciate Life)」は、
自分自身や誰かの真価を見つけ、味わい、育てあうことで、
人生をより豊かにしていく試みです。
学んできたこと、感じてきたこと、実践してきたこと。
それらを、この場所から発信していくことで、
ふと立ち止まったときの気づきや、明日を変える小さな一歩のきっかけになればと願っています。
人生は一度きり。
だからこそ、誰かの価値を本気で受け取り、
自分の価値も惜しみなく差し出しながら、
お互いの人生を育て合うような関係を、広げていけたらと思っています。
そんな未来を、APLFを通じて、共につくっていけたら嬉しいです。
これまで僕は、主にオフラインで直接会い、話すことを大切にしてきました。
仲の深い友人や知人を中心に、コンサルティングやWeb構築、高単価サービスの設計をサポートしてきたのも、そのためです。
深く話して初めて見えてくるものがある——そんな実感がずっとありました。
けれど今は、そうした“対話”や“直接のつながり”を土台にしながら、
APLFというプロジェクトを通じて、これまでの経験や学びをもっと広く届けられる“かたち”を模索しています。
言葉や構造、世界観を通して「出会う前から伝わる」土台を整え、
そこから深い実践へと進んでいけるように。
まだ出会っていない誰かにも、価値や意味が届き、
気づきや変化のきっかけとなるような“土壌”を育てていけたらと願っています。
そして僕自身も、このプロセスの中で、さらに成長していけたらと思っています。
APLF 主宰
竹中慎吾