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整え|実践|冬に戻る

─ 静かな時期の整えかた

冬になると、身体は少しだけ内側へ戻ろうとします。
朝起きるのが重たくなったり、動き出すまでに時間がかかったり。
それは“怠さ”ではなく、季節とともに変化する自然なリズムです。

冬は、一年の中でいちばん静かな季節。
その静けさをどう扱うかで、春の立ち上がりも大きく変わります。

冬は「ためる季節」である

生命は常に動いていますが、ずっと同じペースではいられません。
夏の外向きの動き、秋の収束、そして冬の「ため」。

冬は、外側の活動を減らし、内側の感覚を回復させる季節です。
身体のリズムも、心の動きも、深いところで静かに整っています。

この“内に戻る力”を否定せず、受け入れることが
冬の整えの第一歩になります。

冬の一日の整え──光・温度・余白を扱う

1. 光を弱めに扱う

冬は朝の光が弱く、昼もどこか淡い。
そのやわらかい光をそのまま受け取るだけで、
一日の起動は静かに整います。

・カーテンを全開にしない
・暖色の灯りを一つだけつける
・窓に向かう時間を数十秒つくる

強い刺激で起こすより、
「ゆっくり世界に戻る」ことを優先します。

2. 温度を整える“入り口”をつくる

冬は、温度の扱いが一日の質を左右します。
・暖かい飲み物を一口
・肩と背中の中心をほぐす
・首もとを冷やさない服を選ぶ

この“入り口”が整うだけで、
その後の気力が静かに立ち上がります。

3. 動き出す前に“余白”を置く

冬はとにかく「助走」が必要な季節。
完璧なスタートを目指すより、
5分の余白を必ず入れる。

静かな音楽を流す、机を軽く整える、
深呼吸をひとつ入れる。

冬の整えは、急がないことから始まります。

冬の一週間・一月の整え──予定を“詰めない”技法

冬は、外向きの予定を詰めすぎると
すぐに疲れが溜まります。

一週間や一月単位では、
「空ける日」を意識的につくることが大切です。

1. 「詰めない」週をつくる

毎週ではなくても、
月のどこかで“ゆるい週”をつくる。

・予定を1日だけ空にする
・会食を減らす週を決める
・あえて早く帰る曜日をつくる

冬は、外向きのペースを少し落とすだけで、
身体の回復が大きく変わります。

2. 月末は「戻る日」として使う

冬の月末は、小さな静けさを取り戻すのに向いています。

・デスクを整える
・先送りのタスクを一度書き出す
・湯に浸かり、深い呼吸で終える

強い「振り返り」ではなく、
“素の位置に戻る”ための日と考えると、冬の巡りと一致します。

冬にしかできない「内側の整え」

冬は、外側の刺激が減るぶん、
内側にある静かな感覚が立ち上がってきます。

・本をゆっくり読む
・短い日記を書く
・温かいものを丁寧に味わう
・誰かと“静かに話す時間”をつくる

こうした行為はすべて、
心の内側をやわらかく整えるための小さな営みです。

冬は、次の季節を準備する“根”の時間

冬の整えとは、
無理に動くことでも、
完璧な日々を積み重ねることでもありません。

内側の静けさを受け入れ、
ゆっくり整えていく時間。

地面の下で根が伸びるように、
この季節に蓄えたものが、春にふわりと芽を出します。

冬は「止まる季節」ではなく、
静かに巡りを育てる季節なのです。


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Shingo Takenaka

Shingo Takenaka

しなやかな律を探る実践者|APLF主宰

北海道・苫小牧市に生まれ育つ。東京大学大学院を修了後、外資系テック企業で働きながら起業。 現在は、人・もの・自然をつなぐ活動を軸に、自己の律と他者との共生を探求しています。 APLFでは「自分らしく、しなやかに生きる」ための実践知を静かに発信し、日々の整えから人生の投資と回収まで、思考と行動を重ねながら日常の美しさを見つけ続けています。

  1. 0の側に触れた夜— 向きが変わっていたことについての記録

  2. 静かな呼吸としてのAPLF─ 強い言葉を使わない、という選択について

  3. 世界と距離を取るという、生き方 ─ ここにいながら、巻き込まれすぎない

このメディアをつくっている人

Shingo Takenaka

APLF主宰

しなやかに、自分の律で生きる
人と自然、もののめぐりを見つめながら
東大院|外資テック|起業10年

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七夕から、大晦日まで。

振り返ってみると、
できたことよりも、
形にならなかったものの方が
たしかに残っている気がします。

言葉にならなかった感覚、
途中で立ち止まった問い、
まだ名前のついていない違和感。

それらを急いで回収せず、
このまま年を越してみようと思います。

Photo by ruedi häberli on Unsplash
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大手町での仕事を終えて、
馬車道のホテルへ。そのまま中華街に向かった夜。

久しぶりに訪れたお粥屋で、
思いがけない人との出会いがあった。
ひとつの出来事が、次の場所へ静かにつながっていく。

そのあと、3度目ましてのスナックでゆっくりと酒を飲みながら、
“都市の夜は、予測できないところが良い” と思った。
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旅は、僕にとって“動く書斎”だ。

旭川でも、銀座でも。
場所が変わると、思考の質が変わっていく。

旅先で仕事をしたり、文章を書いたり、
何かを整理したりするのが、昔から好きだ。

非日常にいるはずなのに、
むしろ“自分の日常”に戻れる瞬間がある。

旅は移動じゃなく、
視点の再配置なのかもしれない。

誰と会うか、何を見るかも大事だけど、
それ以上に、場所が変わるだけで
心のレイアウトが組み直されていく。

旅の“余白”に入ると、
本業のことも、個人のことも、
不思議とスッと整っていく。

僕にとって旅は、
逃げ場所でも観光でもなくて、
“感覚と思考のバランスを調律する時間”。

だからまた、旅に出たくなる。
ひとつ何かをやり終えるたびに。
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光のゆらぎだけが、
静かに景色を整えていた。

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