11月の旭川は、これまでの旅の中でも、少し密度の高い時間でした。
予定が詰まっていた、というよりも、
人、食、場所、静と動。
ひとつひとつが、偶然とは思えないかたちで重なっていた、という感覚です。
今回は、LCCと簡易的な宿を使った、かなり身軽な旅でもありました。
制限があったからこそ、余計なものを持たずに済み、
結果的に、この重なりをそのまま受け取れた気がしています。
旭川という街そのものよりも、
「この時期、この流れ、この呼吸」を記録しておきたい。
そんな思いから、この報告書を書いています。

この旅は、最初から少し密度が違っていました。
美瑛方面に向かう

季節の境目に立たされるような、11月の風景。
美瑛近郊
集まる|夜から始まる旭川
今回の旭川は、夜から始まりました。
9Cホテルに荷物を置き、旭川で暮らしているあおやんと合流。
焼き鳥そっぷで腹を満たし、
気づけば、またスナック葉子のカウンターに並んでいました。
この2年で旭川には4回来ていますが、
最初に葉子に辿り着いて以来、毎回ここから夜が始まります。
旭川の夜は、こちらが入り込む前に、
先に場がひらいている感じがあります。

スナック葉子|旭川
ひらく|人が増え、景色が広がる
人を迎えに行くことで、旅の輪郭が少し変わりました。
奥泉で粥と中国茶を味わい、そのまま美瑛へ。
奥泉は、以前は札幌・円山にあった店で、
移転を知ってからは、旭川に来るたびに足を運ぶ場所になりました。
木、池、滝、狐。
言葉を挟まずとも、景色が会話を引き受けてくれます。
旅は「進む」というより、
人と場所によって、静かにひらいていくものなのだと感じました。

旅の輪郭が、ここでひとつひらきました。
奥泉|東川

静けさそのものが、景色になっていました。
青い池|美瑛

旅の途中で、世界のリズムに戻される瞬間。
美瑛
深まる|技と時間の積層
鮨みなと、男山酒造、デザインセンター、北鎮記念館。
食や場所を通して、この街の「技」と「時間」に触れていきました。
派手さはありませんが、どこも時間の層がはっきりと残っていました。
旭川は、語る街というより、
積み重ねが、そのまま形として残っている街です。
この場所で過ごすと、
自分の時間感覚も、自然と深い方へ引き寄せられていきます。

技が前に出すぎず、静かに残る余韻。
鮨みなと|旭川

旭川デザインセンター

ここでは、急ぐ理由が見当たりません。
男山酒造|旭川

それを言葉にせず、ただグラスを傾ける。
Bar エペルネ|旭川
ほどける|流れのままに過ごす
街に戻ると、空気が少し変わります。
炭やでホルモン、角打ちでさらに一杯。
人の距離が、また少しずつ縮まり、ほどけていきます。

夜が、もう一段ゆるむ場所。
角打ち|旭川
一日だけ、単独日帰りで札幌へ足を伸ばしました。
昼にスープカレーを食べ、
夕方まではCONNECT SAPPORO内のBIZcomfortで仕事。
特別に切り替えることもなく、一日がそのまま流れていきました。

流れの延長に、自然とグラスがありました。
ばんなちゅ|札幌
気づけば、また旭川に戻っていました。
移動しているのに、拠点から離れていない感覚がありました。
静まる|人が去り、街が残る
人が去り、街が残ります。
雪の夜、ホテルに戻ろうと歩いていると、
音が消え、横断歩道の途中で立ち止まりました。
にぎやかだった流れが、
すっと街に溶けていく。
旭川は、最後に必ず静まります。
その静けさが、次の訪問を自然に約束しているようでした。

街が、ようやく自分の形に戻っていきます。
旭川・夜
おわりに
この11月の旭川は、
どこかへ行くための旅ではありませんでした。
人が集まり、ほどけ、
またそれぞれの場所へ戻っていく。
その流れそのものが、旅だったのだと思います。
旭川は、目的地というより、
気づけば戻ってきてしまう場所になっています。
理由はひとつではありません。
ただ、この流れ、この呼吸が、
また次を呼んでいる。
それだけは、はっきりと感じています。

ただ、戻ってくる場所が、またひとつ増えました。
旭川
─ 関連する記録:
同じ場所を、五回目に見るということ
ピークじゃない場所に、残っているもの
