決めないという選択は、
立ち止まることではない。
まだ、
配置を変えている途中なだけだ。
すぐに決めることが、
正しさや前進だとされる場面は多くあります。
けれど実際には、
決める前にしか扱えない時間があります。
まだ言葉にならない違和感。
どれも間違いではない選択肢。
一つに定めると、何かが欠けてしまう感覚。
この状態を、
未熟さや迷いとして切り捨ててしまうと、
後から必ず、歪みが生じます。
ここでは、
「決めない時間」を通過するための律について、
整理してみたいと思います。
決断の前に、順番がある
多くの場合、
問題は「決められないこと」ではありません。
決める順番が早すぎることのほうが、
構造を壊してしまいます。
決断は、
情報が揃ったから起きるものではなく、
内側の配置が整ったときに、
自然に立ち上がるものです。
それまでは、
- 価値がまだ揺れている
- 可能性が同時に残っている
- 言葉にすると、削れてしまう
そうした状態が続きます。
この時間を、
無理に短縮しようとすると、
判断は早くなりますが、
後で必ず、戻ることになります。
「決めない」は、止まっているわけではない
決めていない状態は、
しばしば「停滞」と見なされます。
けれど実際には、
別の次元で動いていることが多くあります。
- 価値の優先順位が入れ替わっている
- 過去の体験が沈殿している
- まだ結びつくべきでない要素が、距離を保っている
この段階では、
結論よりも配置が重要になります。
何を先に置くのか。
何を、まだ置かないでおくのか。
決断は、
配置が整ったあとでしか、
うまく機能しません。
構造を壊さないための律
ここで大事になるのが、
「今は決めない」という選択を、
律として扱うということです。
それは、先送りではありません。
逃避でもありません。
- まだ熟していないものを、急がない
- 言語化が意味を削るときは、保留する
- 形にする力を、道具として扱う
この律を守っていると、
外から見ると、遅く見えることがあります。
けれど、
壊れない構造は、
たいていこの順番を通っています。
この律が、場の設計に現れるとき
この「決めない順番」は、
個人の思考だけでなく、
場の設計にも現れます。
すぐに答えを出さない。
方向を定めすぎない。
結論を急がせない。
代わりに、
- どこで引っかかっているのか
- どこで自然に動くのか
- 何を固定すると歪むのか
それらを、
いったん眺めます。
そうしているうちに、
決断は「選ぶもの」ではなく、
立ち上がってくるものへと変わります。
小さなまとめ
決断は大切です。
けれど、決断の前には、
必ず通るべき時間があります。
- 決めない時間を、失敗扱いしない
- 未整理な状態を、壊さずに保つ
- 形は、最後に与える
この順番を守ること。
それ自体が、ひとつの律になります。
決断は、
急がなくてもいい。
順番を守った決断は、
迷いを連れて戻ってこない。
※この律は、いくつかの記録と対話の中から、
あとから輪郭を持ってきたものです。
