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驚き

遊びの報告書 #04|旭川 2025年11月

─ 集まり、ほどけ、雪に溶ける

11月の旭川は、これまでの旅の中でも、少し密度の高い時間でした。
予定が詰まっていた、というよりも、
人、食、場所、静と動。
ひとつひとつが、偶然とは思えないかたちで重なっていた、という感覚です。

今回は、LCCと簡易的な宿を使った、かなり身軽な旅でもありました。
制限があったからこそ、余計なものを持たずに済み、
結果的に、この重なりをそのまま受け取れた気がしています。

旭川という街そのものよりも、
「この時期、この流れ、この呼吸」を記録しておきたい。
そんな思いから、この報告書を書いています。

11月の美瑛の道路
音が吸い込まれていくような、11月の旭川・美瑛。
この旅は、最初から少し密度が違っていました。
美瑛方面に向かう
黃葉と雪が、同じ画面に収まる時期。
季節の境目に立たされるような、11月の風景。
美瑛近郊

集まる|夜から始まる旭川

今回の旭川は、夜から始まりました。
9Cホテルに荷物を置き、旭川で暮らしているあおやんと合流。
焼き鳥そっぷで腹を満たし、
気づけば、またスナック葉子のカウンターに並んでいました。

この2年で旭川には4回来ていますが、
最初に葉子に辿り着いて以来、毎回ここから夜が始まります。

旭川の夜は、こちらが入り込む前に、
先に場がひらいている感じがあります。

スナック葉子のカウンター
すでに回っている夜に、静かに加わる。
スナック葉子|旭川

ひらく|人が増え、景色が広がる

人を迎えに行くことで、旅の輪郭が少し変わりました。

奥泉で粥と中国茶を味わい、そのまま美瑛へ。
奥泉は、以前は札幌・円山にあった店で、
移転を知ってからは、旭川に来るたびに足を運ぶ場所になりました。

木、池、滝、狐。
言葉を挟まずとも、景色が会話を引き受けてくれます。

旅は「進む」というより、
人と場所によって、静かにひらいていくものなのだと感じました。

身体が先に落ち着き、言葉があとから追いついてくる。
旅の輪郭が、ここでひとつひらきました。
奥泉|東川
色も音も、過剰にならない。
静けさそのものが、景色になっていました。
青い池|美瑛
観光でも演出でもなく、ただそこにいる。
旅の途中で、世界のリズムに戻される瞬間。
美瑛

深まる|技と時間の積層

鮨みなと、男山酒造、デザインセンター、北鎮記念館。
食や場所を通して、この街の「技」と「時間」に触れていきました。
派手さはありませんが、どこも時間の層がはっきりと残っていました。

旭川は、語る街というより、
積み重ねが、そのまま形として残っている街です。

この場所で過ごすと、
自分の時間感覚も、自然と深い方へ引き寄せられていきます。

鮨みなとの一貫
一貫ごとに、時間の厚みがある。
技が前に出すぎず、静かに残る余韻。
鮨みなと|旭川
旭川デザインセンターの椅子
積み重ねは、語らずとも形に残ります。
旭川デザインセンター
味の奥に、積み重ねた時間が静かに立ち上がる。
ここでは、急ぐ理由が見当たりません。
男山酒造|旭川
Bar エペルネのカウンター
技と時間を受け取ったあと、
それを言葉にせず、ただグラスを傾ける。
Bar エペルネ|旭川

ほどける|流れのままに過ごす

街に戻ると、空気が少し変わります。
炭やでホルモン、角打ちでさらに一杯。
人の距離が、また少しずつ縮まり、ほどけていきます。

肩書きも予定も、ここでは少し横に置かれる。
夜が、もう一段ゆるむ場所。
角打ち|旭川

一日だけ、単独日帰りで札幌へ足を伸ばしました。
昼にスープカレーを食べ、
夕方まではCONNECT SAPPORO内のBIZcomfortで仕事。
特別に切り替えることもなく、一日がそのまま流れていきました。

ばんなちゅのワインボトル
ワインを飲む、というより、夜に寄り添う。
流れの延長に、自然とグラスがありました。
ばんなちゅ|札幌

気づけば、また旭川に戻っていました。
移動しているのに、拠点から離れていない感覚がありました。

静まる|人が去り、街が残る

人が去り、街が残ります。

雪の夜、ホテルに戻ろうと歩いていると、
音が消え、横断歩道の途中で立ち止まりました。

にぎやかだった流れが、
すっと街に溶けていく。

旭川は、最後に必ず静まります。
その静けさが、次の訪問を自然に約束しているようでした。

音が消え、人の気配が引いていく。
街が、ようやく自分の形に戻っていきます。
旭川・夜

おわりに

この11月の旭川は、
どこかへ行くための旅ではありませんでした。

人が集まり、ほどけ、
またそれぞれの場所へ戻っていく。
その流れそのものが、旅だったのだと思います。

旭川は、目的地というより、
気づけば戻ってきてしまう場所になっています。

理由はひとつではありません。
ただ、この流れ、この呼吸が、
また次を呼んでいる。
それだけは、はっきりと感じています。

旅の終わりに、特別なことは起きません。
ただ、戻ってくる場所が、またひとつ増えました。
旭川

─ 関連する記録:
同じ場所を、五回目に見るということ
ピークじゃない場所に、残っているもの

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Shingo Takenaka

Shingo Takenaka

しなやかな律を探る実践者|APLF主宰

北海道・苫小牧市に生まれ育つ。東京大学大学院を修了後、外資系テック企業で働きながら起業。 現在は、人・もの・自然をつなぐ活動を軸に、自己の律と他者との共生を探求しています。 APLFでは「自分らしく、しなやかに生きる」ための実践知を静かに発信し、日々の整えから人生の投資と回収まで、思考と行動を重ねながら日常の美しさを見つけ続けています。

  1. 力は、どこにあるのか分からない─ 音楽と文章と、関わりの話

  2. 心は、外に置かれはじめている

  3. 0の側に触れた夜─ 向きが変わっていたことについての記録

このメディアをつくっている人

Shingo Takenaka

APLF主宰

しなやかに、自分の律で生きる
人と自然、もののめぐりを見つめながら
東大院|外資テック|起業10年

.
去年の旭山で。

何をしているのかは、よく分からない。
でも、ずっと見ていられた。
.
海に来ると、
言葉が一度、ほどける。
.
APLFとは、
世界を少しだけ丁寧に見つめ直すための
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風の温度、土地のリズム、
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ゆっくりと、自分の歩幅で。
そんなふうに世界と関わりたい人へ。

▼ Web
https://aplf.jp
.
人が集まることには、
いつも光と影の両方がある。

SNSで誰かが見つけてくれて、
新しい世代や旅人が混ざり、
店や街に活気が生まれる。
それは間違いなく“光”。

ただ、広がりのスピードが
その場所が育ててきた“温度”と
噛み合わない瞬間もある。

たとえば京都の、とある昼から飲める蕎麦屋で感じたこと。
ここは少し入りにくい佇まいで、そもそも見つけにくい場所にある。

その日、大学生が扉を開けて入ってきた。
「どうやって見つけたんだろう?」と店主に聞くと、
答えは “SNSの投稿で知ったから”。

来てくれること自体は嬉しい。
でも店主がふとこぼした、
「少し違う店になった感じがあるんだよね。
常連さんが入りづらくなって離れてしまう店もあるようだ」
という静かな言葉も、たしかにそこにあった。

もちろん、発信が店や地域を支えている場面も多い。
僕のまわりの発信者たちは、
店や土地のリズムや空気に寄り添いながら、
文脈ごと丁寧に届ける人ばかりだ。

だから、バズが悪いわけじゃない。

ただ、土地には土地の歩幅がある。
その速度に合わせて広がっていく関わり方が、
きっと美しいのだと思う。

たとえば山口県の、とある温泉街のように。
土地のリズムに合わせて、
ゆっくり関係性を育てている場所もある。

光と影の両方を感じながら、
その土地とどう関わるか。
旅人にも、地域の人にも、
その感性がきっと必要なんだと思う。

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