大人になるほど、旅や遊びは少しずつむずかしくなっていきます。
予定、体力、価値観、生活のペース──その違いが重なり、
「行き先を決める」だけでは満足度の高い一日が生まれにくくなるからです。
それでも、ときどき不思議なほど美しい一日が訪れることがあります。
決めすぎていないのに自然と整っていく日。
偶然や会話がその場の地図を描きかえる日。
流れのほうが計画よりも賢く見える日。
山梨で過ごした一日は、まさにその象徴でした。
ぶどうの甘さで始まり、ほうとうの温度で落ち着き、
アイスとコーヒーの静けさを挟み、
ほったらかし温泉の光に溶けていき、
夜の八王子で静かに着地する。
そこには特別な主役があるわけではありません。
ただ、その日を形づくる “流れ(Flow)” と “つながり(Relation)” が、
自然と重なり合って、ひとつの律動(リズム)を生んでいました。
本特集では、その一日を入口として、
旅・つながり・動線・存在の哲学 を「10の視点」として切り出し、
大人の遊びを再現性のある「設計」へと抽象化します。
旅は、ただの移動ではありません。
その日の空気や人との関係がもっとも素直に現れる、
ひとつの“断面”であり、学びの場所でもあります。
※本特集は、2025年11月28日より、全10本を順次公開していきます。
本特集の構成 ― NシリーズとAシリーズ
この特集は、note(N1〜N5)とAPLF(A1〜A5)の
二つのレイヤーで構成されています。
Nシリーズ(N1〜N5)
… 山梨の一日を、詩的なエッセイとして綴る「物語・感性」の側面。
Aシリーズ(A1〜A5)
… 対になるNシリーズと同じテーマを、構造・原則・実践知として整理する「設計図」の側面。
各ペア(N1とA1、N2とA2…)は、
同じテーマを「物語として読む」「構造として理解する」という
鏡のような関係になっています。
どちらか一方だけでも、両方合わせて読んでも楽しんでいただける構成です。
Nシリーズ | 旅を編む大人たち ― 山梨一日旅編(note)
詩的で感覚的なエッセイとして綴った5本です。(順次公開)
計画と即興、そのどちらも旅の一部である。 旅は、事前にリストを作ったり、ルートを描いたり、 時間をおおまかに組み立てたりするところから始まる。 そうした“準備としての計画”は、旅に安心と方向性を与えてくれる。 けれど、旅の本番は「現場に立った瞬間」から始まる。 空気、気温、街の気配、周りの顔色。 人との会話の流れ、車を走らせるときのリズム、 そのとき心が向く方向──。 それらが一つの波のように立ち上がり、 動線が“その場で自然に見えてくる”。 計画を否定するわけではない。 準備を放棄するわけでもない。 ただ僕は、こう思っている。 「世界のほうが、僕よりはるかに賢い。」
旅の目的地は、場所だけでも、人だけでもない 旅の計画を立てるとき、 多くの人はまず“行きたい場所”を探す。 絶景、人気の店、名物、SNSで見つけたスポット。 旅は場所を目指すものだと考える人もいるし、 それはそれでとても豊かな旅の仕方だと思う。 僕だって、景色や料理に心が動くことはたくさんある。 ただ、僕の場合は少しだけ入り口が違っていて、 場所と同じくらい、あるいは時にそれ以上に 「誰に会いに行くか」が旅の背骨になる。 その人がどんな世界を見ていて、 どんな空気をまとっていて、 何を大切にしているのか。 そうした“人の輪郭”に触れたくて、旅に出ることが多い。 場所の魅力
つながりの「ちょうどいい距離感」 大人になるほど、 つながりの距離感が難しくなる。 近すぎても息苦しい。 遠すぎると、ただの情報で終わってしまう。 その“間”にある絶妙な距離── お互いに過度に踏み込まず、 でもいつでも声をかけられるくらいの距離。 強すぎず、弱すぎず。 張りすぎず、ゆるみすぎず。 触れれば伝わるけれど、 干渉しすぎない。 この絶妙な距離の中に、 大人の関係性の美しさが宿る。 チェーン店も好きだし、個人店も好きだ 僕はチェーン店も普通に行く。 ファストフードも、カフェチェーンも、気分によっては最高だし、便利。 でも、個人店にも自然と足が向く。 店主の空
山梨の一日から抽出する、大人の遊びの“律動”
近日公開
ちっぽけで、宇宙そのもの──存在と関係の静かな哲学
近日公開
Aシリーズ | 大人の遊びの設計図 ― 山梨一日旅編(APLF)
体験から抽出した構造と実践方法をまとめた5本です。(順次公開)
旅の動線は、「予測」と「受容」をどのように織り合わせるかで決まります。 計画だけでは固まりすぎ、受容だけでは行き当たりばったりになる。 この二つを同時に抱えながら、その場で流れを編んでいく方法をまとめました。 はじめに:動線設計とは「予測 × 受容」 旅の計画というと、 ...
旅というと、まず“行きたい場所”が浮かぶ方も多いと思います。 ・有名な観光スポット ・SNSで知ったお店 ・地域の名物 こうした「場所起点」の旅には、もちろん大きな魅力があります。 一方で、私自身の旅は、 “人の記憶や気配”が場所を呼び出す そんな瞬間が多くあり...
大人になるほど、人間関係はむずかしく感じることが増えていきます。 ・距離の取り方がわからない ・気を遣いすぎて疲れてしまう ・深まりたいのに深まらない ・仲良くしようとして逆に不自然になる これは、ごく自然なことです。 なぜなら...
大人の遊びの設計図──山梨の一日をモデル化する
近日公開
存在と関係のモデル──ノードと矢印で読み解く人生設計
近日公開
このシリーズが届けたいもの
特別なことをしなくても、大人の旅は豊かになります。
人を大切にすること、関係をていねいに扱うこと、
その場の流れに柔らかく委ねること──それだけで一日は驚くほど変わります。
世界の棚に置かれたピースを、必要なときに静かに取り出すように。
旅も、人生も、もっと軽やかに編むことができます。
この10本が、あなたの“一日の流れ”や“大人の遊び方”を少しだけ豊かにする、
静かなヒントになれば嬉しいです。
今回の特集は、山梨一日旅を例にまとめた「10の視点」です。
大人の遊びかたには、これ以外にも多様な実践や構造があります。
ここから先は、旅だけでなく、日常全体を軽やかにするための「大人の遊び」の実践編です。
大人の遊びかた研究室
旅・つながり・余白・律動・環境づくりなど、
日常に生かせるヒントを発信する「大人の遊びかた研究室」のページもぜひご覧ください。