はじめに ─ 世界はひとつ、見方は無数
同じ世界を見ていても、誰もが少しずつ違う景色を見ています。
あなたがどこに立ち、どの角度から世界を切り取るかで、意味も価値も変わります。
「自分の断面で世界を切る」とは、他人の正解ではなく、自分の視点から世界を構築していく姿勢のことです。
この原則は、感性や知性を超えて、「どこから世界を見ているか」を問うもの。
その切り取り方こそが、あなたの思考・創造・生き方の“型”になります。
原則の核心 ─ 自分の視点で世界を再構築する
他人の価値観をなぞるのではなく、自分の感受性・経験・信念に基づいて世界を編集する。
それが「自分の断面で世界を切る」ということです。
見方を変えることは、世界を変えること。断面を意識することは、主体的に世界と関わることでもあります。
断面は固定されたものではなく、状況や成長に応じて変化します。
むしろ、断面を自在に切り替えられる柔軟性こそが、現代における知の成熟なのです。
生命の観点から見る「断面」
生命は環境の一部を切り取り、情報として処理しながら生きています。
感覚器官も、思考も、感情も、世界の“断面”を抽出しているに過ぎません。
つまり私たちは、世界そのものを知っているのではなく、世界の断面を生きているのです。
だからこそ、どの断面を選び、どの断面を磨くかが、その人の生の輪郭を決めていきます。
現代の課題 ─ 他人の断面に引きずられる時代
- SNSでの情報や評価が、自分の感受性よりも強く働いてしまう。
 - 「正解」を求めすぎて、自分の軸で世界を見る力が弱まる。
 - 他人のフレームに従って動くうちに、自己の断面が曇ってくる。
 
こうした時代において、「どの断面で世界を見るか」を再確認することは、
個の回復であり、感性のリセットでもあります。
実践 ─ 自分の断面を見つけ、育て、使い分ける
① 感情を手がかりに断面を知る
最近、心が動いた瞬間を3つ挙げてみましょう。
それは「怒り」「安堵」「感動」など、感情の揺れでも構いません。
そこには、あなたが世界をどの断面で感じているかのヒントが隠れています。
(例:構造の美しさ/人との関係性/時間の流れ/静けさの質)
② 観察の角度を変えてみる
1つの対象を、違う断面で3回観察してみてください。
「機能の断面」「情緒の断面」「構造の断面」など。
断面を意識的に変えることで、ものの見え方が立体化します。
③ 断面を共有する
自分の断面を言語化し、人と共有してみましょう。
それだけで、他者の断面との重なりやズレが見え、対話が豊かになります。
世界を語るとは、断面を交換することなのです。
この原則の代表タグ
キーワードで読むこの原則
- #身体性(shutaisei):自分で立ち、自分で切り取る感覚。思考の重心を身体に置く。
 - #物差しを持つ(ruler):誰かの基準ではなく、自分の判断軸を育てる。
 - #見方を変える(change_viewpoint):断面を変えることで、世界の奥行きを取り戻す。
 - #判断軸(handanjiku):迷う時ほど、内側の軸に戻る習慣。
 - #グラデーション(gradation):断面同士をつなぎ、変化を連続として捉える感性。
 
まとめ ─ 世界を切り取るという責任
「自分の断面で世界を切る」とは、自己中心ではなく、自覚的に関わる姿勢です。
どの断面から世界を見るかを意識することは、同時にその断面を育てるという行為でもあります。
世界はあなたの断面を通して更新され、あなた自身もその中で変化し続けていくのです。
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詩的な感性の面から同テーマを綴ったエッセイも、noteで公開しています。
note「感性の三部作」