大人になると、遊びの設計は少しずつ難しくなっていきます。
・予定がなかなか揃わない
・好みや体力がバラバラ
・人数が増えるほど移動が複雑になる
・その日の体調や気分も人それぞれ
だからこそ、行き先を並べるだけではうまくいかず、どこかで負荷が生まれます。
今回の山梨の一日は、ほとんど事前に決めずに始まった旅でした。
・ぶどう狩り(シャインマスカット食べ放題)
・ナッティー(ing代表)の誕生日
・山梨方面に行く
決まっていたのは、事実上この3つだけ。
その最小単位の“核”から、一日の流れは自然に立ち上がっていきました。
大人の遊びを成功させる鍵は、
「個の事情」と「全体の流れ」をどう調和させるか にあります。
山梨の一日は、そのバランスが偶然きれいに整っていました。
この構造をモデル化すると、どこでも応用できる「大人の一日」が見えてきます。
1. 一日の構造──「起承転結 × 緩急」で組み立てる
大人の遊びは、行く場所ではなく一日の流れで決まります。
今回の旅は、自然と次のような構造になっていました。
起:立ち上がりの軽さ
車内のだんご → 談合坂サービスエリア → 一古園のぶどう狩り
・甘さで一気にテンションが上がる
・“今日が始まった”という実感が生まれる
承:身体を整える厚みの時間
頑固おやじの手打ちほうとう
・温度とボリュームで身体の中心が整う
・グループの一体感が自然に生まれる
転:静けさと余白の挿入
KajuRu のアイスとコーヒー + 車内での30分会議
・冷たさと静けさでリフレッシュ
・旅と日常が自然に重なる“谷”の時間
結:景色 × 湯 × 夜の統合
ほったらかし温泉 → 八王子 多馥(誕生日ケーキ)
・夕暮れと富士山の絶景
・温泉で身体の輪郭が溶ける
・17年来のつながりが旅をきれいに締める
終わり方が整うと、一日の満足度は自然と跳ね上がります。
2. 大人の遊びは“五感の流れ”で決まる
大人の遊びを疲れさせない最大のポイントは、
五感が滑らかに移り変わることです。
味覚の波
甘さ → 温 → 冷 → 深み
温度の変化
外気 → 食事の熱 → 冷たいデザート → 温泉 → 夜風
光の移り変わり
昼 → 夕暮れ → 夜
対話のテンション
賑やか → 静けさ → 深さ → 優しい締め
五感に「重さ」や「強さ」が溜まらないほど、旅の疲れは軽くなります。
3. グループ行動は“役割を決めない”とうまくいく
今回の旅は6名でしたが、誰かがあらかじめ役割を背負う必要はありませんでした。
現場では、自然とこんなふうに“役割らしきもの”が立ち上がっていきます。
- 動線をゆるやかに整える人(私)
- 場の中心をつくり、皆を巻き込む人
- ムードを明るく引き上げる人
- そっと声をかけ、間をつないでくれる人
- 空気を安定させ、広がりをつくる人
どれも“決まった役割”ではなく、瞬間瞬間に立ち上がるふるまいです。
役割を固定しないからこそ、互いのリズムが重なり、大人の遊びは心地よくまわっていく。
4. 揺らぎを“味方にする”設計
大人の旅には、必ず揺らぎが入ります。
・夜勤明けの参加者
・途中の会議
・シーズン終わりのシャインマスカット
・温泉の混雑状況
・ケーキ持ち込みの交渉
これらを“問題”と見るか、“素材”と見るかで旅の質は変わります。
揺らぎを織り込むポイント
- 予定を固定しすぎない
- ズレを前提に動く
- 代替案を軽く持っておく
- 誰か抜けても流れが止まらない設計にする
揺らぎがあるから、旅に物語が生まれます。
5. “締め”のデザインが記憶を決める
旅の満足度の半分は、最後の30分で決まると言われます。
今回の「多馥での誕生日祝い」は、最高の締めでした。
- ing のつながり
- 誕生日当日の特別感
- 17年の縁があるお店
- ケーキ持ち込みという柔軟さ
- 夜の落ち着いた空気
これらが重なり、一日の物語が静かに閉じていきました。
6. 再現性のある「大人の一日」テンプレート
山梨の一日をモデル化すると、次のような汎用構造が見えてきます。
大人の遊び・5ステップ(例)
- 立ち上がりの軽さ(甘さ・軽食)
- 身体を整える時間(温度・食・落ち着き)
- 静けさと余白(冷たさ・コーヒー)
- 自然に委ねる時間(景色・湯・光)
- ホームで締める(人・夜・小さな儀式)
これは完璧な正解ではありませんが、どこでも応用できる骨格になります。
総括:大人の遊びは、段取りではなく“律動”で決まる
大人の遊びの本質は、観光地の豪華さや予定の正確さではありません。
必要なのは、一日の中に流れ(律動)を作ること。
- 甘さで立ち上がり
- 温度で整え
- 冷たさで締まり
- 湯でほどけ
- 夜でふわりと着地する
この流れが、一日という“音楽”をつくります。
どこへ行っても、誰と行っても、
流れの質さえ整えば、大人の遊びは自然と豊かになります。
旅も人生も、「どう流れるか」で決まります。
本記事は、特集 「大人の遊びかた研究室・特別編 ── 旅とつながりの10の視点」 の一部です。
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