On the Frozen Ground
十九歳か、二十歳くらいの頃。
当時は古武術や立禅に興味があり、
本を見ながら我流で身体の稽古をしていた。
高専では空手同好会にも入っていたが、
ひとりで体の動きを試すこともよくあった。
その日は、冬の夜だった。
ひとつの動きを試していた。
一歩にかける時間を、
できるだけゆっくり長くする。
そんな稽古だった。
どれくらいやっていたのかは分からないが、
一時間くらいは続けていたのかもしれない。
気づくと、
体力をほとんど使い切っていた。
帰る途中で、
母校の小学校のグラウンドに入った。
北星小学校。
人気のないグラウンドの真ん中で、
そのまま凍れた地面に倒れ込んだ。
しばらく動けなかった。
ただ、
仰向けのまま、空を見上げていた。
星が見えていた。
たぶんオリオンだったと思う。
北海道の冬の空は、星がはっきり見える。
最初は、ただ
宇宙は広いな、と思った。
そして、
自分はとても小さい存在だな、と。
しばらく空を見ているうちに、
少しだけ感覚が変わった。
宇宙が広い、というより、
自分がその中にいる、という感じだった。
そしてさらに、
その区別も、だんだん曖昧になっていった。
宇宙と自分が、
完全に同じものだと思ったわけではない。
でも、
まったく別のものでもないような気がした。
自分はとても小さい。
でも、その小ささは
不思議と安心でもあった。
何もできないようで、
何でもできる。
そんな感じだった。
どれくらいの時間、
そうしていたのかは覚えていない。
三十分くらいだったのかもしれないし、
もっと短かったのかもしれない。
ただ、
しばらくのあいだ、
そのまま空を見ていた。
あの夜の感覚は、
どこかに残り続けている。