The Universe — Farthest Yet Nearest
夜、空を見上げる。
それだけのことなのに、
少し不思議な感じがすることがある。
遠くにあるはずの星が、
どこか近く感じられる。
星の光は、
何年も、何十年も、
あるいはもっと長い時間をかけて
ここまで届いていると言われる。
もしそうなら、
いま見えている光は
ずっと昔に出発したものなのかもしれない。
そう思うと、
いま見ているものが
いまの星なのかどうか、
少し分からなくなる。
宇宙はとても遠い。
地球から見える星の多くは、
人が一生かけても
たどり着けない距離にある。
けれど同時に、
自分もまた
宇宙の中にいる。
地面の上に立ち、
空を見上げているこの体も、
遠い昔に生まれた
星の材料からできていると言われる。
そう考えると、
宇宙は
ただ遠くに広がっているものではなく、
いまここにも
少しだけ含まれているのかもしれない。
宇宙は
最も遠い。
けれど、
宇宙は
最も近い。
その二つの感じは、
なぜか同時に成り立つ。
星を見ていると、
自分がとても小さく感じることがある。
広い宇宙の中の
ほんの一部の存在に過ぎない。
でもその小ささは、
不思議と安心でもある。
何もできないようで、
何でもできるような感じ。
あの冬の夜に
凍れた地面の上で見ていた空も、
そんな感覚に少し近かった。
宇宙はとても遠い。
でもその遠さは、
いま見上げている空と
つながっている。
遠いものと近いものは、
思っているほど
離れていないのかもしれない。