週のうち5日は家から一歩も出ないこともある。
それでも、ときどき不思議な流れのようなものが働いて、
思いがけない二日間が訪れる。
非日常というほど特別でもない。
けれど、あとから振り返ると、
これまでの歩みの延長線上にある時間だった気がする。
誰にでも、そんな“小さなずれ”のような瞬間がある。
そのあわいを行き来するように過ごした、ある週末の記録です。
1. 高専関東支部会 ― 原点との再接続
2025年6月某日 昼下がり | 東京・紀尾井町
過去と現在をゆるやかにつなぐ。
毎年恒例、ニューオータニ・ガーデンコートでの同窓会に参加しました。
「10個下の後輩の講演だけ聞いて退散」。
とはいえ、活躍している方々の姿を見るのはやはり嬉しいものです。
この日の講演者は、苫小牧高専OBの木下大輔さん。
フラー株式会社で経営企画を担当しながら、ショウグンモーターという個人事業も営まれている。
テーマは「私の早すぎる履歴書 ― 高専が好きすぎる企業人の日常 ―」。おもしろい。
すべて決めて動いてきたというより、流れの中で動いてきたという感じ。
好きなものを真っすぐに追う姿に、心が動きました。
“たまには自分も話してみるのもありかな”と、思ったり。
技術と感性、言葉で伝えることの力。
「話す」と「遊ぶ」は、どちらも世界に触れる方法なのだと感じた時間でした。

ニューオータニガーデンコート
2. 鮨 青空 ― 美と余白
同日 夜 | 銀座
整えた空間で、心をひらく。
懇親会を抜けて、銀座へ。
向かったのは「青空(はるたか)」という鮨店。3月にお誘いいただいたご縁で、今回は二度目の訪問です。
研ぎ澄まされた職人の所作。
一貫ごとに流れる静寂。
“美しさ”は、静けさの中から立ち上がるものだと改めて感じました。
隣に座られたJさんに良くしていただき、日本酒を少し。(いや、たらふく)
そのご縁で、9月にも再訪することになります。
同行した方の誕生日でもあり、Jさんがシャンパーニュを持ってきてくれた。
その後、新宿のワインバーにも案内してくださった。最高すぎて。その後、タクシー代が2万円を超えて泣いたのは内緒。
良い店には、良い人が集まる。
そして、良い出会いは次の体験を連れてくる。
そんな“めぐり”を感じた夜でした。

鮨 青空(はるたか)

鮨 青空(はるたか)
3. Bar 月華 ― 五感の再起動
同日 深夜 | 銀座
味覚と会話で、感覚をチューニングする。
鮨の余韻を抱えたまま、Bar 月華へ。
季節のフルーツカクテルを一杯。
ここのフルーツは、いつも驚くほど香りも味もよい。
店主との会話のテンポが、空間にゆるやかなリズムを生み出していました。
「良いサービス」とは、相手の呼吸を感じ取ること。
味・香り・会話。
すべてが“場の調律”になっていく。
五感が静かに再起動していく時間でした。
居心地が良くて、たびたび再訪してしまう店。

Bar 月華

Bar 月華
4. ダーツバー Bee ― 集中とリズム
同日 深夜 | 銀座
身体性と思考のリセット。
その夜はそのまま朝までダーツ。
直感と集中、そしてリズム。
思考を止め、身体にまかせて動く。
普通にゲームの負けで、クライナーを飲む。まだまだ若いな。
あと、ダーツの機器の進化に驚いた。
“勝ち負け”ではなく、“流れ”に没入していく感覚。
遊びは、思考の余白を生み出す最良のリセット法だと実感しました。

ダーツバー Bee 銀座
5. 翌日の選挙 ― 現実への帰還
翌朝7時 | 八王子
現実と理想を行き来する。
八王子の自宅に戻り、2時間だけ仮眠して選挙へ。
形式的な行為に見えても、
「社会の一部として関わる」という感覚には確かな手応えがあります。
都心に残れば楽だったけど、これだけはやっておかなければ。
どんな行動にも、自分が世界とつながる瞬間がある。
その実感は、静かな余韻として残りました。
6. ヘリ体験 ― 視座の上昇
同日 午後 | 東京・新木場
視点を変えると、世界が変わる。
午後、新木場の東京ヘリポートへ。
コンサルタントでお世話になっている楠本さんに誘われて、初めてのヘリ体験です。
風が強く、いつもより揺れたとのこと。
けれど、思っていたほど酔わず、むしろ心地よかった。
高度を上げるごとに、街がひとつの模様のように見えてくる。
遠くにスカイツリー。
車も人も、ゆっくりと流れる。ミニチュアのよう。
上から見ると、日常がひとつの「地図」になる。
「視座を上げる」とは、物理的にも精神的にも、抽象度を上げること。
この体験は、まさにその象徴のようでした。

東京ヘリポート

フライト中の機窓

R44 Raven II 機内
7. スープカレー Suage 〜 シーシャ enma ― 地上での振り返り
同日 午後 | 東京・丸の内/八重洲
非日常を、身体と感覚で“地上”に戻す。
フライトを終え、Suageでスープカレー。
スパイスの香りが、頭と身体を現実へ引き戻してくれる。
スープカレーは、自分にとってのソウルフードです。たまには作ろうか。

Suage 丸の内店
その後、シーシャ「enma」へ。
楠本さんと“視点を変える”というテーマで語り合いました。
上空での体験が、地上で言葉になっていく。
体験が思想に変わる瞬間。
非日常が、ようやく日常に溶けていく感覚がありました。

シーシャバー 煙間 東京八重洲店
おわりに
視点を変えることは、難しくありません。
遠くへ行かなくても、日常の中で角度を変えるだけで、世界は変わります。
非日常を求めるより、日常を更新する感性を育てる。
それが、人生を豊かにしていくいちばん自然な「遊び方」なのかもしれません。
―― 遊びは、人生の中で最も自然な学びのかたち。


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