The Moment Events Begin to Appear
世界が変わったわけではない。
ただ、
何かが起きはじめている気配だけが残っている。
深層 第Ⅱ部では、
生命が置かれている「世界の側」を見渡してきた。
構造。
配置。
効率。
距離。
それらは、個人の意思や努力の外側で、
静かに生を取り囲んでいる条件だった。
世界を理解したわけではない。
答えが出たわけでもない。
ただ、ひとつの感覚だけが残っている。
説明だけでは、足りない。
構造を理解しても、なお説明しきれない瞬間が残っている。
世界の配置を見渡したあと、
なぜか、別の方向から思い出されるものがある。
それは、出来事として思い出される記憶である。
出会い。
転機。
流れ。
辿り着いてしまった場所。
努力だけでは説明できない瞬間。
偶然としか呼べない重なり。
あとから振り返ったとき、
線になって見える点。
世界の構造を見渡したあと、
それらは消えない。
むしろ、静かに浮かび上がってくる。
同じ場所に立っている。
同じ世界の中にいる。
それでも、
何かが起きはじめている。
配置として見ていた世界が、
現象として動きはじめる。
静止していた世界が、時間の中に入りはじめる。
ここから視線は、もう一度変わる。
生命でもない。
世界でもない。
その二つが交差したときに現れるものへ。
深層 第Ⅲ部では、
出来事という現れに触れていく。
深層シリーズ 第Ⅲ部 ─ 出来事という現象をたどる
生命と世界のあいだで立ち上がる現象へ